東京高等裁判所 昭和35年(ネ)2415号 判決
本件建物は訴外須山貞男が昭和三三年六月中旬頃その敷地上にあつた従前の建物を取り毀し、その跡に同年七月末頃建築した新築建物であること、及び右訴外人は右取毀した従前の建物について滅失登記、新築した本件建物について新たな保存登記をせず取り毀した従前の建物の登記を流用してこれに基いて被控訴人のために前記各登記をしたことも当事者間に争がない。
そこで右登記が有効であるかどうかについて判断するに、建物が滅失後その跡に同様な建物を新築した場合は、旧建物について滅失登記をなし、新築建物については新たな保存登記をなすべきであつて旧建物の既存の登記を新築建物に流用することは許されないものというべきである。けだし旧建物は滅失したのであるから、其の後の登記は真実に符合しないばかりでなく、新築建物について新たな保存登記がなされ、従つて一箇の不動産について二箇の登記が存在するに至る虞があつて、不動産登記制度の公示性を乱すからである。
(菊池 花渕 山田)